スピッツの刺激

その3:スピッツライブ体験記---fake fur

1998年9月、季節は秋。わたしははじめてのスピッツのライブに胸をわくわくさせて会場へと向かった。京都会館へ行くのもはじめてだった。

午後5時半頃、電車→バス→徒歩で京都会館に到着。すでに行列ができている。わたしはさっそくツアートラックを発見して写真をパチリパチリ。ムラサキなんていうかわいい色のツアートラック。だけど、「SPITZ JAMBOREE TOUR'98 fake fur」の文字を全部入れて撮るのは難しい。出来上がりの写真を見たら予想通り両端が切れてた〜。

6時、開場。ものすごい数のファンが開場へなだれ込む。早くもグッズ売り場は黒山の人だかり状態。人込み嫌いのわたしは近寄るものイヤ。姉に頼んでパンフやバッジなどを買ってきてもらう。

6時半頃、席に着く。ここでいう11列目とは後ろから数えて11列目なのだった。もーー!けっこう前のほうだと思って期待していたのにーー。ひどいではありませぬか。まぁ仕方ないです。あきらめますわ。ぼーっとしているとアナウンスが。

「台風のため開演がおくれています」

募る思いをおさえて、まつまつまつ、ただスピッツを待つ。

7時、ついに開演。マサムネくんの白いT−シャツ・黒ズボンが目にとびこんだ。

「おまたせしましたー!」

1曲目、「運命の人」のイントロに会場には黄色い悲鳴(?というの?)がとびまくる。「やっとめぐりあえた」ってかんじだものね、ぴったりな1曲目。(わたしの予想は「スピカ」でした。でも結局「スピカ」はやらなかったよ、京都では)

はじめてのことでなにがなんだかわからないながらも必死にマサムネくんの歌声やメンバーの演奏に耳を傾ける。2曲目の「センチメンタル」では突き刺さるような緑のライトがまぶしかった。

「青い車」や「ロビンソン」、「スパイダー」などの曲でファンはみな同じような振りをしている。わたしはもちろんわからないので歌いながら身体をゆらゆら。なんだかちょっと疎外感を感じながらも楽しもうと必死である。14曲目、「楓」。わーという歓声につつまれる。と同時に聴こえてきた手拍子。。。「えー?手拍子かえ?まじですか」楓に手拍子はないっしょ。素直な感想なのです。それから「渚」に手拍子もおかしいと思う。まぁ。人それぞれ楽しみ方はあるのだから文句言っては悪いけれど、それはあんまり気持ちよくなかった。

ほかにもこのライブでは不満があった。はっきり言ってしまうと、「音」がよくなかった。ステージからあふれ出る音の粒が、地面を伝って観客の足をふるわせるのがライブの醍醐味である。どんなに大きなホールでも、いままでわたしはその快感を味わいたくてライブに行っていたような気がする。このライブを体験してそのことにはじめて気づいた。つまり、この時のライブではその快感が得られなかったのだ。これは非常にかなしかった。

スピッツが悪いんじゃないと信じたい。京都会館の音響がよくなかったのだと。スピッツを見られたことのよろこび、でもそれが大きければ大きいほど、音の悪さが残念でならない。

音を除いたらライブはよかった(といっても音がメインなのだから、満足したとは言えないのだが)。とくに照明など視覚的なところに目がいった。まずはライブセット。すぐに「お風呂場」を連想した。柱が5本立っていて、その柱の下のほうにブルー系のタイルが敷き詰められていて、その間に気持ちよさそうなフェイクファーの生地がはさまっているのだ。かわいい。一目見て気に入っちゃった。天井からは、まあるい笠のついたライトが4つほど下がっている。これもなんかかわいい。

色とりどりの照明がかっこよかった。特に印象的だったのは「渚」で、まるで海の中にいるみたいな光たちが会場全体をおおった。それはすごく気持ちが良くて、音の悪さなんて、どうでもよくなるくらい。それからうれしかったこと、「愛のしるし」をやってくれたこと。ネットでちょっと耳にしていて、演奏するだろうことはあらかじめ知ってはいたのだけど、それでもうれしかった。イントロでピーンときて踊りまくったもんね。アンコールだったし、もうこれは楽しむしかない!ってかんじで。

つけたしー!! たしか、メンバー紹介の時だったと思うけど、マサムネくんが

「♪愛してる、でもまさかね、そんなこと言えない〜」(多分このフレーズだった)

いきなり、キロロの「長い間」を口ずさんだ。。。え・・・?と一瞬会場は静まり返り(?)、その次の瞬間、すごい拍手と歓声。これにはわたしもびっくりしたし、無性にうれしかった。あんな高音のフレーズを歌えちゃうなんてマサムネくんだからこそってかんじだし、唐突なのもよかった。(このライブで一番印象に残ってたはずなのに、書くの忘れるとこだった。。。)

はじめてのスピッツ。はじめての音。はじめての光。。。うまくいえないけど、わたしが感じ取ったものはまちがいなく「生きたスピッツ」なのだ。にもかかわらずちょっとした感覚の違いでうまく楽しむことが出来なかった自分、そしてありのままのスピッツの音をわたしに伝えられなかったスピッツ、それぞれの次への期待が高まる経験であったと、このことを思う。

(でも次はたぶん京都会館へは行かない。フェスティバルホールにしようと思う。やっぱり足から伝わってこない音は会場のせいだと思う。みなさんはどう思いますか?ほんとのスピッツサウンドはちゃんと足からも伝わってくるよね。)

こんなこと書いちゃったけど、愛してるぜ、スピッツ!

(2 Jan 1999 komako)
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